【第10回】ペーター•ダムの芸術 モーツァルト「ホルン協奏曲 全曲」

 

 


 

ついに第10回にして最終回。記念回なので、このブログの第1回で取り上げたご主人の思い出の一枚を取り上げる。モーツァルトの「ホルン協奏曲 全曲」だ。ご主人が中学時代に買った当時のレコードはずっと前に手放したそうだが、10年ほど前に主人に「レコードブーム」なるものがやってきたらしく、その頃当時と同じものを見つけて買ってきたのを覚えている。「ドレスデン・シュターツカペレの大器”ダム”が満を持ちしておくる最新録音」というピンクのレコード帯と、シルバーのメーニッヒB♭シングルホルンを吹くペーター•ダムの姿とのコントラストが印象的。

ご主人の長男であるおぼっちゃまが生まれたときに「たいき」と名づけられそうになったのは「ペーター•ダム=大器」という言葉がご主人の頭の中に深く刷り込まれていたからかもしれない。

 

Kuuta
Kuuta

結局おぼっちゃまは別の名前になりました。

だむ美 
だむ美 

小柄なのに「たいき」は厳しいですね 💦

楽曲について

モーツァルトが作曲した4曲のホルン協奏曲とRondo KV371が収録されている。ただし、モーツァルトのホルン協奏曲は作曲年があいまいで断片的なものが多く、モーツァルトの死後補筆された部分もあるそうだ。

このレコードのジャケット裏面にはペーター•ダム自身による研究と考察がぎっしり書かれている。ここでは割愛するが、ペーター•ダムはモーツァルトの自筆楽譜やさまざまな文献、資料を調べ上げて、彼自身の手によって楽譜を校正し演奏している。何も知らずに聴くとびっくりする。中学生の頃のご主人はレコード視聴の際に、「あれ?小節が飛んでる」と思い、針飛びかと思ったそうだ。

今でも多くの学者によってモーツァルト研究は続いており、最近もロンドKV371の失われた60小節が発見されるなど、「ホルン協奏曲」は今も発見と変化を続けている。

Kuuta
Kuuta

今後のモーツァルト研究から目が離せません!

だむ美 
だむ美 

いろいろなバージョンがでてくるのでしょうね。

演奏者と録音について

指揮者: Herbert Blomstedt 

オーケストラ:Staatskapelle Dresden 

録音技師:Horst Kunze 

録音日時:1974年3月28日-31日(ペーター•ダム 36歳)

録音場所:Lukas Kirche, Dresden  

第8回の「未完成」に続いてブロムシュテットとペーター•ダムのコンビによる録音。レコードジャケット左下のペーター•ダムとブロムシュテットの字の大きさの違いは、当時の二人の力関係を表しているのだろうか。「ペーター•ダム版」ともいえる珍しい楽譜の指揮をさせられて、ブロムシュテットもさぞかし大変だっただろう。 

 

Kuuta
Kuuta

さすが大器!

字の大きさも立派です。

「ペーター•ダム的」聴きどころ

この全集は5曲それぞれに魅力があり、どこが一番などと選ぶことはできない。どこに針を落としても天衣無縫ともいえるペーター•ダムの名演奏を満喫できる。

また、このレコードを聴くまではホルン協奏曲のホーケストラはただの伴奏としか思っていなかったが、シュターツカペレ・ドレスデンの伴奏を聴いて、初めて良い弦楽器、普通の弦楽器があることがわかった。伴奏部門のコンクールがあったら、金賞をあげたい。全曲各楽章ずつ紹介したいところだが、長くなってしまうので、2曲とりあげる。  

Rondo KV371 カデンツァ 

最近失われた60小節が発見された、と話題になった曲。もちろん本録音当時にその情報はなく、得られる資料からペーター•ダムが吟味して校正した版による演奏。演奏者によってさまざまなバージョンがあるが、僕にはこの録音が一番しっくりくる。

そして終盤のカデンツァは、ペーター•ダムが個人練習をしているような、神々しさすら感じる名演奏。

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KV495 Romanze 

モーツァルトのアリアやクラリネット協奏曲2楽章の美しい旋律を彷彿とさせる名作。とくに短調で始まる中間部は、ペーター•ダムの美しい音楽と音楽への愛が凝縮されていて、とても好きな部分だ。ペーター•ダムは優れた歌い手だと確信する名演奏。 

 

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Kuuta
Kuuta

長い間お付き合いありがとうございました!僕は普通の柴犬に戻ります。

だむ美 
だむ美 

まだ「ダム味(み)が足りません。「シーズン2」期待してます!