
最近うちのご主人様は「書く仕事をしたい」とか言い出して、半年ちかく学校に通っていた。パソコンを使っての課題提出が多いので、僕はブログが更新できなくて迷惑した。ようやく先日学校が終わり、ご主人様は自信作の卒業制作を提出したものの、結果優秀賞にかすりもしなかったそうだ。ご主人様は落ち込んで、「もう筆を折る」と言って毎日泣きながら寝込んでいる。やれやれ。。。
ご主人様は飽きやすいが、僕のペーター・ダムへの敬愛は変わらない。今日だけは絶対に更新すると決めていた。なぜなら、今日2025年7月27日はダムさんの88歳の誕生日だから。
おめでたい日にふさわしい、ファンファーレから始まるホルンの名曲、シューマンの「4本のホルンと管弦楽のためのコンチェルトシュトゥック」を紹介する。


演奏者と録音について
指揮者 : Siegfried Kurz
オーケストラ:Staatskapelle Dresden
ホルン : 1st Peter Damm, 2nd Klaus Pietzonka, 3rd Dieter Pansa,
4th Johannes Friemel
録音日時 :1983年 (ペーター・ダム 46歳)
録音場所 :Lukas Kirche, Dresden
作品について
この作品は、4本のホルンがオーケストラを伴奏にソロを吹く、という非常に珍しい作品だ。前回紹介した「アダージョとアレグロ」作品70を作曲後、同じ1849年にドレスデンで作曲されている。「アレグロ」の部分の3連符の音型が、そのまま本作品の一楽章のテーマとしても使用されている。シューマンお気に入りのホルンフレーズだったのだろうか。
シューマン自身は、この作品の編成がとても「風変わりなもの」としつつ、「私の最もすぐれた作品の一つ」(eines meiner besten Stücke)と述べている。名曲の多いシューマンが「マイベスト」に選んだ名曲を、ペーター・ダム&SKDホルンセクションの録音で聴ける幸せをかみしめたい。

シューマンも「マイベスト」なんて、言うんですね。

ダムさんはいつも私のマイベストです。
「ペーター•ダム的」聴きどころ
この曲はホルン吹きにとっては難曲中の難曲だが、ホルンの様々な音色や音域を楽しむには絶好の作品だともいえる。
4人の奏者が演奏するため、音色や吹き方をそろえなくてはならない。ペーター・ダムの音色は同じホルンセクションの中でも独特だが、この録音は「多重録音か?」と思うくらい、4人がペーター・ダムの音色、奏法に合わせている。他の3人が「ほら、そっくりでしょ?」と楽しんでいるような様子すら感じる。ファンとしてはペーター・ダムが4倍になったようで、とにかくうれしい演奏だ。
【第一楽章 Lebhaft(生き生きと)】
いきなりホルンのファンファーレから始まり、一番上のCの伸ばしでダムさんはビブラートをかける。これがたまらない!なお、この楽章の最後の3拍はティンパニの名演であることも付け加えておく。

【第二楽章 Romanze(ゆっくりと、しかしひきずらずに)】
4人が心を合わせてしっとり歌う。途切れなく3楽章につづく。

【第三楽章 Sehr lebhaft(さらに生き生きと)】
もう勢いは止まらない!最後まで手に汗を握りながら聴こう!


「4人のペーター・ダム」、素晴らしいですね。

一度に4倍楽しめる、ダム味(み)たっぷりの演奏、素敵です!